アベノ「突破解散」総選挙にあたって2017/10/10

 衆議院選挙が公示された。この選挙の争点は、北朝鮮対応でも、消費税の使い道でも、改憲でもない。モリ・カケ逃れにそんな解散を打ち、北朝鮮危機まで煽ってごまかす、国権私物化の安倍政権を許すかどうかが争点。他の問題は、まずこんな政権をお払い箱にしてから議論すべきこと。

 安倍の「一億総活躍」よりずっとソフトで無内容な「キボウ」が澱みに浮び出て、そこに野党第一党が呑み砕かれ、政界図式が激変した。だが、それでも選挙の基本争点は変わらない。安倍は「与党過半数なら続投」と言う。87議席失っても辞めないということだ。こんな政権にとにかく消えてもらう、それがまず第一の課題。続けさせてはいけない。

 以下は選挙スピーチの際に念頭に置くことの覚え書。
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 8日のネット上での党首討論で安倍は「この国を守り抜く」という標語を掲げた。 「この国」とは、自分が私物化している「この国」だろう。それを守り抜くための「突破解散」だ。つまり、森友・加計問題が露見し、その追及を逃れるため、開いた臨時国会をいっさい議論させずに解散した。それで四百億かかるそうだ。

 この政権による国の私物化はそれだけではない。官僚の人事権を握って言うことをきかせ(安倍に尽した者だけが露骨に出世する)、裁判所にも空気を読ませ、メディアも手なづけ脅し岡っ引きを送り込んでなびかせる。行政も司法もメディアも汚染、それが今のこの国の基調を決めている。

 そして「外患」を使って「内憂」から目を逸らさせる。「北朝鮮危機」をトランプの尻馬に乗って煽っているのは安倍自身である。歴史的経緯にも蓋をし、弱小孤立独裁国家を「暴発」に追い込む火遊びに、国民も国の名誉も引きずり込もうとする。

 核兵器とIT・AI戦争のこの時代、「国を守る」最も基本的なことは、戦争をしない・させない努力だ。起こったら終わりだから。

 それでも自民・キボウの候補の40パーセント近くが、トランプ・アメリカの武力行使の選択支持だという。米による攻撃は北の必至の反撃を誘い、とりわけ韓国、そして米軍基地日本に多大な被害を出すことは明らかだ。

 トランプは世界から無思慮で危険な指導者と見られている。それに嬉々としてくっついているのが安倍、金正恩といいコンビと見られている(トランプも「ロシア・ゲート」をごまかしたい)。

 アベノミクスはどうか? 日銀に札束を次々刷らせ、金融市場をダブつかせて株価を吊り上げ、好景気を演出する。円の価値が下がって輸出企業はホクホク、しかし儲かるのは資産家だけ。「企業の活躍しやすい国」にするため働く者は搾り取られ、「女性の活躍」と称して女性も低賃金・非正規雇用で働かせる。結局、貧富の格差は拡大され、若者には希望がなくなり、老人は切り捨てられ、さまざまな社会的弱者はお荷物として扱われる。

 実は日本の「豊かさ」とは、敗戦後の日本人が「戦後レジーム」のもとで営々と築いてきたものだった。それを破壊するのが「戦後レジームからの脱却」。だから安倍自民党はもはや「保守」などではなく、復古幻想がまつわりついた破壊と転覆の「反動」勢力なのだ。

 安倍「改憲」とは、国家の私物化を制度化すること。つまり、国民のために権力の恣意を縛るはずの憲法、その憲法を「みっともない」として廃棄し、国民が国家に尽すことを命ずる憲法に変えようということである。その憲法の下で、国家の私物化を恣にするというのが安倍「改憲」の願望であり、このような「改憲」を求めるあらゆる勢力は、この憲法のもとで国家を代弁し、国民を自分たちのために拘束しようとする連中である。

 彼らはときに「国家主義者」と呼ばれるが、たいていは「国家」の名の下に人びとに「愛国心」を押しつけて、私欲を粉飾する夜郎自大である。だから彼らは、いつも人に戦争を押しつけて、自分たちは大本営で命令だけしようとする(あるいは、その権力に群がって保身を追及する。

 では、この選挙にどう向き合うべきか。言うまでもなく、ここで安倍自民が「勝つ」ことがあれば、「破壊と転覆」にフリーハンドが与えられたも同然になる。ここは「右・左」でもイデオロギーでもなく、まず「まともな政治」を取り戻すことが喫緊の課題である。あらゆる議論はその条件ができてからだ。そのために夜郎自大を一人でも多く追い落とし、「まともな議員」を一人でも多く当選させなければならない。それがこの総選挙の単純な課題だ。

 小池東京都知事も例に漏れない。「キボウ(化粧品の商標か?)ってなんか感じ悪いよね」という直感を大切にしたい。