賀すべきか、「呪殺」の年2018/01/02

 呪術というとき、「呪」は巫祝の行うことばによる呪詛だが、「術」は動物霊を用いる方法である。(…)呪術には多く獣皮が用いられた。動物の皮をはりつけて悪霊を祓う。(…)祟りをなす動物を門などにうつ形は「殺」の字形にも残されている。ただし「殺」は殺すことが目的なのではなく、これによって相手の行う呪詛の効果を減殺するのである。「殺」は呪霊を放逐するのが原義だからである。(白川静『漢字』による。図は父丁の廟に犬牲を施したことを印す金文、殷代)

 殷の時代には犬牲が墓室にも葬られ、犬皮がこのような護りのために使われたという。簡単にいえば、犬を犠牲として呪霊の侵入を防ぎ墓を守らせ、また、犬の皮を柱にかけて、敵からの呪詛を無力化する。犬はそのような功徳をもつ獣だったということだ。

 今年は巡り来た犬年、犬の霊験によって現代の仕組まれた邪蠱(虫を器に詰めたものを用いて呪詛する、この場合は現在の日本に巣食う魑魅魍魎の悪だくみ)を祓いたいものです。