開戦日覚書き(前項ディテール補遺)2020/03/14

○トランプ、東京五輪は一年延期すべきかも…
「アメリカ様」(宮武外骨)がそうおっしゃってる。
どうする「令和ニッポン」、も一度インパール作戦か?カミカゼか?がんばれ大本営。自民界隈では「コロナ神カゼ」説もあったようだが、「緊急事態・特措法」は通しても、そんなこと言ってるからアメリカに襲撃されちゃったよ。これだろ、ほんとの緊急事態、オリンピックができない!

○独メルケル首相「金融危機を超える異常事態」、国民に対策呼びかけ(NHK)
メルケルだけが今は多少信頼できる国家首脳。チェコのワーツラフ・ハベル、ビロード革命後大統領に選出されて初の年頭あいさつで言った。「(この四十年というもの、わたしたちは前任者の口からさんざんウソを聞かされてきた。)皆さんがわたしにこの職務につくように提案されたのは、わたしもまた嘘をつくようにというためではないと信じます。わが国は繁栄していません。」近いことを言えるのはメルケルぐらいだという意味で。

このニュースを見つけたころ、ちょうど日経平均17000円割れという速報。
アベがトランプと電話会談でコロナ対策?協議、アベは五輪開催に向けた努力に言及し、トランプ大統領は透明性ある努力を評価すると述べたそうだ(NHK)。「透明性ある努力」とは裸の王さま踊りのことなのか。
この日米電話会談は市場には何の効果ももたらさなかった。とくに円は露骨に落としている(最大幅)。円高もあって日銀も打つ手なし。五輪を旗に世の中を乗せて粉飾経済、株高・円安・好況、を演出し、「この道しかない」の新自由主義路線を押し通してきた「アベ日本」の完全破綻。
メディア抑えて批判運動を黙殺し、野党は「どうせ数で負けるんだから」と順応路線で、ポンコツでも無敵のブルトーザーだったアべ政権、しかしとうとう投資家・市場から見放された。
市場という金儲けにしか関心がないバケ物(+そこに群がる顔のないならず者たち)が、今まではエサに食いついてアベ日本(日銀押さえた金融政権)を支えてきたが、ここに来てとうとう見放した。彼らの喜ぶ大胆な(アベノミクスをぶっ潰す)政策が打てないかぎり、市場は(を)離れ続けるだろう。15000円でも底ではない。
日銀黒田はどうするのか?責任をとらされるのか、それとも非常事態で続けるのか?

市場好転の唯一の材料は、経済の根本的立て直しの方向を出すこと。手始めは消費減税だけではない。中国・韓国とコロナ対策でも協力関係を打ち出し、この間わざわざ最悪化してきた関係を改善、アジアの方向を向いて関係を立て直すこと。

○日米首脳が電話会談、大統領から「五年延期」に言及なし(朝日新聞)
昨日のトランプ発言を受けて、急遽設定された電話会談。アベ首相は慌てたということだ。
ここで考えるべきは、「2020東京五輪ができない」ということの本当の意味。それを明確にする必要がある。東京五輪で日本経済を引っ張りもたせる、とはどういうことか?
曖昧にしているから、コロナウイルス対策もまともにできない。五輪ができなかったらたいへん、そこからしか日本の対策はできていない。誰もが気分と思惑でパニクル(パニクらせる)だけ。そして政権は火事場でボロボロの権力強化。

○検察定年延長の閣議決定
2014年7月の憲法9条の「新しい解釈」が閣議決定でなされてそれで押し通して以来、閣議決定は「大本営」決定になっている。石川健治が「クーデター」と言ったのはこのことです。これは法的根拠など無視した振舞いだったけれど、それを事後的に合法化するのが「緊急事態宣言」。緊急事態法制とは基本的に法秩序の停止を合法化するものだから。それを立憲・国民は承認したということ、もはや野党ではない。もちろんこれで黒川検事総長は誰が何と言ってもできることになった。

そして「権力はアプリオリに無罪」というワーツラフ・ハベルの指摘した状態が実現する。
アベはコロナ対策での無策と失敗(学校休校のフライング)を、この「全能化」に巧みに利用した。森友・加計火災を共謀罪で乗り切ったように。
疫病禍を戦時に例える「ウイルスとの闘い」という倒錯した比喩がまかり通っている。それが今を「緊急時」と言わせるが、だから自分を「戦時の国家指導者(ブッシュ)」として押し出せる。戦時には権力者を批判してはいけないという通念があるので、アベの支持率は上がる。アベはそういうことを自己への「神カゼ」にしてしまうという、本能的利己主義がある。それが彼を祖父の妻に、つまり婆さんに「運命の子」と言わしめるゆえんもある。

○テレビ東京WBS(ワールドビジネスサテライト)のニュース
 https://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/
このニュース、いまいちばん必要な情報テンコモリ。経済面にすべての事象が落とし込まれて説明されるのがいまの情報の基本的ルートだから。政治現象も経済的になら市場重要ファクターとしてまともに扱われる。じつは今日見てビックリした。株式パニックの意味がいちばん分かる。ナレーション・解説はネオリベでも、必要な素材を必要な情報として忖度なく扱っている。こんなもの見ていたくないが(もうあんまり時間がないので、もっと好きな勉強をしていたいのに、バタイユとか、不死のワンダーランドとか…)。

 世界的に「緊急事態」に入った、ということは、世界が基本的に「戦時状態」に入ったということである。何が対立しているのか?「コロナウイルスとの戦い」だというではないか。「敵はコロナ」、ただしこの「敵」はどのような「敵」なのか?「テロとの戦争」と似てもいるが、「敵」は「テロリスト」ではなく、人を感染させるウイルス――言いかえれば、人を危険な存在「テロリスト」にする病原――である。それが、じつはそれぞれの国ではなくグローバル秩序を冒している。株の大暴落はその深刻な徴候だ。…グローバル世界はともかく「戦時態勢」に入った。

…とはいえ、バタイユは一九三九年九月五日、ナチス・ドイツのポーランド侵攻に対して英仏が宣戦布告し、世界(まずヨーロッパ)が大文字の戦争に突入した日に、戦中恍惚=脱存日誌を書き始めた。それが、戦後『有罪者』として読まれることになる。今日(ここ一週間ばかりが煮詰まった)が、われわれの開戦日だ。とはいえ、バタイユにはそれでも戦争が終り「戦後」が訪れることを望見することができた。だが、われわれにはその展望がない。まさに「戦後」が解体されることで現在が生じたのだから。「俺たちに明日はない」と知りつつ、なお見ようとして書い刻もうとする。それが今日の「思想」のあたりまえに空しいかもしれない営みだ。

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