スリムな医療キャパと検査をしない行政2020/04/11

[共同通信 04/10]――新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査が、さいたま市では2カ月で171件にとどまったことについて、市の西田道弘保健所長は10日、記者団の取材に「病院があふれるのが嫌で(検査対象の選定を)厳しめにやっていた」と明らかにした。

埼玉だけではない。日本で検査が少ない(してもらえない)のはひとえにこのためのようだ。もともと病院に余裕がない。感染が増えたらすぐにパンクする。だから病院が機能していると見せるために、感染者数は増やせない。その縛りを行政出先の保健所がやる。政府専門委員の医師たちも、病院態勢が円滑であることを求める。自分たちの立場を守り維持することになるから。だから、3月末になって慌てて「緊急事態宣言」を政府に求めた。しかし自民党にくっついてきた医師団体だから正面切った批判はできず、ぎりぎり持ちこたえているとは言い続ける。

だがもう医療態勢はパンクしている。東京では呼吸困難で救急で運び込まれても、もう受け入れられる病院はないのだ。病床だけの問題ではない。医療スタッフにはまったく余裕がない(経営効率のいい病院だから)。ICUで人を取られたら、もう通常医療はできない。救急患者はもちろん受け入れられない。それはもう現実になっている(さすがに今日10日のNHKではとくに設備面を表に出して扱っていた)。

 これまで何をしていたのか。本末転倒。検査を進めて感染状況を把握するというのではなく、「効率的」な病院体制の都合に合わせて検査を絞ってきたのだ。感染の現実に対する関心よりも、病院のキャパがこれだけだから、それを溢れるような感染者を出さない、つまり極力検査をしない。それが日本のこれまでの医療行政の対応だったということだ。保健所長はそのために働き(それが厚生省医療行政の下での有能な役人)、専門委員の医師教授たちは政府の機嫌を損なわないよう、やきもきしながら揉み手でお願いしてきた。医療現場はそれでも起こる事態に対応を迫られる(→逼迫)。

 中国政府は初めは混乱があったものの、1月20日過ぎにSARS対応で功績のあった鍾南山氏の進言で武漢を封鎖、そこに全国から5000人の医療スタッフを募って送りこみ、1000床の臨時病棟を作って対応し、つい先日4月8日に封鎖が解けるまでにもってきた。一党独裁だからできたのではない。政府が優れた専門家の進言を受け入れ、「経済的影響」など二の次にしてとにかく感染制圧のために人・モノ・情報のすべてをつぎ込んだからだ。それを日本でやれとは言わないが、既存医療行政組織が無能政府に従うばかりのいまの日本では、国民(外国人は言うまでもなく)は政府行政に何も頼ることができないようだ。

日本では、3月に和歌山県が独自判断で的確な対応をしたが、その時にはまだ周囲に余裕があった(検査等で他府県に応援を求められた)。いまはもうどこも他所を助ける余裕がない。急遽仮設病院を作ろうにも、日本の医療キャパ(とくに人、頭数はもちろん、その医療従事者たちが感染症対応にはりつけるような生活のサポートなど)そのものが限界なのだ。

 ともかく、もう症状が出ても病院で治療を受けられないことは覚悟しておかなければならない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック