2025.03.01ホワイトハウス、ゼレ・トラ60分一本勝負の観戦記 ― 2025/03/02
トランプは戦争を終わらせたい(アメリカに金がかかるから)。
ゼレンスキーは「今はやめない、勝つまで金(支援)を出せ」」と言う。
トランプはもうこれ以上金を出したくない。
EU、「アメリカが引いたらウクライナが勝てないじゃないか」とブーブー。
- 戦争を止めるということは「ロシアが勝つ」ということ?
- そんなことはないだろう、プーチンはもう死にそう、ロシア軍もボロボロ、経済も青息吐息…ウ軍に領土とられた、石油基地もドローン食らった、とメディアでは盛んに解説していたじゃないか。「ロシアは勝って」いないのでは? じゃ、そろそろ止めたら?
- それではロシアに有利になる。
- えっ、ロシアはボロボロって言ってたじゃない。全部ウソなの?
ウクライナは「ヨーロッパと民主主義(西側的価値)」のために戦っているのか?EUは「侵略者ロシア」を懲らしめるために?
- この15年、ロシアにさんざん嫌がらせし圧迫してきたのは誰だ?(米ブッシュ等とNATO、ロシアからクリミア取って牙を抜く…、ウクライナ人のことなど考えていない。)
- ウクライナを「反ロ親西」にしたのは誰だ?(オリガルヒと民族右派)
- 仕掛けたのは?(V.ヌーランドやマケインやH.バイデンら「民主化工作」派=ネオコン)
トランプは、戦争で儲けてアメリカをダメにしてきた「民主化工作」派と戦って選挙(内戦)に勝ち、「アメリカを取り戻した」。
ウクライナもEUもその「民主化工作」派頼りにロシアに喧嘩を売って「勝とう」とした (「ロシアの侵略がまずはじめ」、というのは端的にウソ)。
しかし、トランプのアメリカは、もう縋りつくな、たかるな、自分で勝てなきゃ喧嘩するな(戦争やめろ)、出した金も返せ(ブツでよこせ)と言うので、アメリカ頼みだったウクライナもEUもバニックで逆上している、の図。
トランプはそのことを見せるために会談を公開でやった(CIAの工作嫌いとプロレス趣味)。
うまくいったか? 西側のひいき役者ゼレンスキー、西側観客あてに悲劇のヒーロー好演。トランプ、セコンド・バンスの介入もあってちょっと悪役にされる。
トランプは「ロシア寄り」なのではなく、アメリカ頼みで戦争する「古いヨーロッパ」EUが嫌い。それがアメリカ衰退の元だと言う。
EUはもう10年支援計画なんか立てたから、戦争やめさせるつもりはない。でもトランプは、もうたくさんだと言う。たしかに、アメリカもEUもその間戦費を膨大に使い、ロシアも使うはずだから、世界的にまったく無駄な浪費。そのうえウクライナは潰れてしまう。人もいなくなってしまう(日本が世銀融資の保証国になっている復興計画なんて「夢のリビエラ」みたいなもの)。
EUとトランプ、この点ではどっちがまともなのか?
*問題はバレスチナ!!
それと陰でマルコ・ルビオがキューバに最後の手を伸ばしている。キューバ、いま戦争でもないのにたいへんみたい。ハバナでも一日数時間しか電気がないとか(長い経済制裁と金融遮断のせい――こっちは西半球でアメリカ、失うものがないから)。
ゼレンスキーは「今はやめない、勝つまで金(支援)を出せ」」と言う。
トランプはもうこれ以上金を出したくない。
EU、「アメリカが引いたらウクライナが勝てないじゃないか」とブーブー。
- 戦争を止めるということは「ロシアが勝つ」ということ?
- そんなことはないだろう、プーチンはもう死にそう、ロシア軍もボロボロ、経済も青息吐息…ウ軍に領土とられた、石油基地もドローン食らった、とメディアでは盛んに解説していたじゃないか。「ロシアは勝って」いないのでは? じゃ、そろそろ止めたら?
- それではロシアに有利になる。
- えっ、ロシアはボロボロって言ってたじゃない。全部ウソなの?
ウクライナは「ヨーロッパと民主主義(西側的価値)」のために戦っているのか?EUは「侵略者ロシア」を懲らしめるために?
- この15年、ロシアにさんざん嫌がらせし圧迫してきたのは誰だ?(米ブッシュ等とNATO、ロシアからクリミア取って牙を抜く…、ウクライナ人のことなど考えていない。)
- ウクライナを「反ロ親西」にしたのは誰だ?(オリガルヒと民族右派)
- 仕掛けたのは?(V.ヌーランドやマケインやH.バイデンら「民主化工作」派=ネオコン)
トランプは、戦争で儲けてアメリカをダメにしてきた「民主化工作」派と戦って選挙(内戦)に勝ち、「アメリカを取り戻した」。
ウクライナもEUもその「民主化工作」派頼りにロシアに喧嘩を売って「勝とう」とした (「ロシアの侵略がまずはじめ」、というのは端的にウソ)。
しかし、トランプのアメリカは、もう縋りつくな、たかるな、自分で勝てなきゃ喧嘩するな(戦争やめろ)、出した金も返せ(ブツでよこせ)と言うので、アメリカ頼みだったウクライナもEUもバニックで逆上している、の図。
トランプはそのことを見せるために会談を公開でやった(CIAの工作嫌いとプロレス趣味)。
うまくいったか? 西側のひいき役者ゼレンスキー、西側観客あてに悲劇のヒーロー好演。トランプ、セコンド・バンスの介入もあってちょっと悪役にされる。
トランプは「ロシア寄り」なのではなく、アメリカ頼みで戦争する「古いヨーロッパ」EUが嫌い。それがアメリカ衰退の元だと言う。
EUはもう10年支援計画なんか立てたから、戦争やめさせるつもりはない。でもトランプは、もうたくさんだと言う。たしかに、アメリカもEUもその間戦費を膨大に使い、ロシアも使うはずだから、世界的にまったく無駄な浪費。そのうえウクライナは潰れてしまう。人もいなくなってしまう(日本が世銀融資の保証国になっている復興計画なんて「夢のリビエラ」みたいなもの)。
EUとトランプ、この点ではどっちがまともなのか?
*問題はバレスチナ!!
それと陰でマルコ・ルビオがキューバに最後の手を伸ばしている。キューバ、いま戦争でもないのにたいへんみたい。ハバナでも一日数時間しか電気がないとか(長い経済制裁と金融遮断のせい――こっちは西半球でアメリカ、失うものがないから)。
今、アメリカで何が起こっているのか? ― 2025/03/15
今、世界はバニックに陥っているようだ。アメリカに「専制君主(独裁者)」が出現した?そしてアメリカが「西側(西洋)」を裏切った?アメリカは自由と民主主義の国、繁栄する世界のリーダー、文明の未来だったはずなのに。
世界は「民主主義国と専制主義国」が対立し、専制主義国の野心でヨーロッパでも東アジアでも「戦争の危機」が高まっている、というのが昨日までの「西側」の通念だった。
ところが、それこそが「ばかな戦争にアメリカを巻き込んで、アメリカ人を踏み台に闇で操り儲ける勢力」があって、「彼らがアメリカ没落の元凶」というのがトランプの主張。それで「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」のスローガンで選挙に勝利した。アメリカのグローバル展開の影で辛酸をなめた「ラストベルト」出身の J.D.バンスも、西海岸の「エリート社会」の居心地悪さからトランプの主張に共感する。彼らの「敵」は、アメリカをダメにしたエリートたちのシンジケート「ディープ・ステート」だ。
これにうろたえるのは「民主vs.専制」で「危険な専制から民主世界を守る」というイデオロギーを受け入れてきた人びと、つまり「西側」諸国、EU、日本などの民主派の人びとだ。じつはこの図式は、「自由主義vs.共産主義」ついで「文明vs.テロリスト」の焼き直しで、原型は「ナチズムから自由を守る」という、アメリカのヨーロッパ戦線参入のスローガンにある。それまでアメリカは「古いヨーロッパ」の戦争には関わらなかったから、そのモンロー主義を破る欧州介入には理由が必要だったのだ。
だが、トランプはこの図式を認めない。ヨーロッパの戦争への介入が、アメリカを世界秩序の束縛に絡めとり、それを利用したエリートたちのシンジケートがアメリカを没落させたと考えているからだ。一度、MAGAで大方の予想を裏切って大統領になった。だが国家運営の機構のなかで包囲網はきつく、再選はならなかった。そして今回は「神の加護」もあって、アメリカは再び「偉大な大統領」を選んだ。一期目にトランプを追い落としたのは自分が潰そうとして果たせなかった「ディープ・ステート」である。だから今度は、そのシンジケートの解体から仕事を始めている。
今、アメリカに起こっているのは、だからひとつの「内戦」である。その「内戦」をどういう手順で戦うのか、トランプ陣営には準備があったようだ。それが閣僚の布陣によく表れている(ほぼ全閣僚が議会の承認を得られるかどうかわからないほどだったが、トランプは自分が大統領である以上押し切れるとみていたのだろう)。
*
アメリカの「内戦」に選挙権をもたない我々は介入できない。すべくもない。なぜプロレスの観客よろしく、逆上してトランプをけなさねばならないのか。ロシア寄りだとか、プーチンに弱みを握られているとか。トランプはかつてプロレス興行に関わっていた。自分もリングに上がって見せ場を作るのは得意である。だから彼は大見えを切るし、客のブーイングさえ稼ぎのネタにする。
彼を「暴君」と呼ぶのは、「アメリカ」についてあまりに無知と言わねばならない。彼こそが「アメリカの自由」の権化なのだ。アメリカの場合「自由」は基本的に「私的」である。「他者」を軽んじ傍若無人に振舞う。トランプはアメリカの地金なのである。
アメリカとはどういう国なのか。先住民をいないことにして土地を強奪、私的所有権を金科玉条に、それに基づく「自由の国」を作った。それは「合州国」で、争い合うヨーロッパの諸国家とは成立ちが違う。だからイギリスの支配を排して「独立」し、「古いヨーロッパ」(ウェストファリア体制)に三下り半を突きつけた(モンロー宣言)。
その後は「フロンティアの西進」で自然の大地すべてを「不動産」に転換した。封建制の束縛はなかった。何でも物件化したら自由処分も売買もできる。所有権が大地にある物すべてを財産にする。その「新世界」建設のキーマンが不動産屋だったのである。
*
その頃のアメリカは「偉大」だった。傍若無人でいられたから。ところが「老いたヨーロッパ」は仲間割れで大戦争、イギリスが助けを求める。アメリカは助けに行き、老いぼれに代わって「西洋=西側」の宗主権をもつ。そして世界統治にリーダーとして関与する。初めはよかった。戦争をするのは海外で、アメリカは繁栄する一方だ。ところが冷戦期になると、国がいつの間にか戦争態勢化、軍官学産複合体ができてそれが政治を動かすようになる(アイゼンハワー退任時に警告した)。この複合体は世界に戦争があることで繁栄する。そして世界統治するアメリカ国家を神輿のようにしてしまう。
10年のベトナム戦争、南米各地での政権転覆工作(CIA)、ソ連崩壊後には、EUの自立を抑えてNATO(北大西洋軍事同盟)存続、そして湾岸戦争、以後、世界の警察官が負担になると、皆でやれ!と「テロとの戦争」…。あちこちに戦争地雷をしかけて、その実「民営化・私物化」で儲けるというアメリカ・エリート・シンジケートが、国内の「アメリカ人」の衰退と凋落を招いてきた。その戦争屋連中が、世界にいい顔をするために人権だとか弱者保護とか多様性だとか言う。そのために「アメリカ人」が割を食い見捨てられている。だから「アメリカ・ファースト」、「アメリカを再び偉大に」と言うわけだ。それが見えない有権者たちの支持をえて、トランプはいま彼らのチャンピオンになった。
*
そのトランプの標的は、まず国内の「グローバル民主派」であり、対外的にはヨーロッパなのである。アメリカを「国際秩序」に引き込んで凭れるからだ。トランプは世界を都合よく分断するイデオロギーを認めない(それはエリートたちのすること)。中国と敵対するのは、周辺で「人権抑圧」する専制主義国だからではなく、たんに「アメリカの偉大さ」を曇らせる最大のライバルだからだ。だから宗主国デンマークを無視してグリーンランドを買うという(アラスカも昔ロシアから買ったものだ)。カナダも51番目の州にする。戦争ではなくディールでやるから問題ない、と。
国内の「グローバル民主派」言いかえれば「世界秩序関与派」は、トランプを「危険な獣」のように見る。そしてヨーロッバ(今ではEU)は、アメリカはNATOで縛って冷戦後も自立を許さなかったのに、そのNATOをお荷物だとかタカリだとか言われ、命綱を切られた思いで悲憤憤慨する。さらにウクライナのゼレンスキーに至っては、「戦争をやめろ」というトランプに、「援助がなければ戦争ができない」「止めるから金よこせ」としがみつく(もとはと言えば英米がけしかけた戦争なのに、と)。EUもロシア憎悪で戦争を10年は続けるつもりだった。それでは話にならない、と大混乱。
*
今、アメリカで起こっているのはそういうことだ。
では、日本はどうすればいいのか。これははっきりしている。今アメリカは「同盟国だなんて甘ったれるな、もう凭れるな」と言っているのだから、これを機会に日本はほんとうに「自立」すべきである。じつは冷戦後にその機会があった。ところがその頃は「世界の一強」アメリカに盲従するしか能がなく、構造改革から軍拡まですべて言われるままで、その結果が「失われた30年」。今こそ自立し、グローバル化した世界の中での新しい位置を見出すべきだろう。そのとき間違ってもまたまた「脱亜入欧」をやってはならない。G7(西洋先進国)の一画などと見掛け倒しの難破船に縋りついていては破滅だ。むしろ、BRICS+諸国と新たな関係を構築し、アメリカの頼りにならない世界、ポスト西洋の時代に積極的に貢献すべきだろう。今、アメリカとヨーロッパが再分裂し、西洋の世界制覇の時代が終わろうとしているのだから。
*もうひとつ重要なのは、デジタルIT産業が世界をどこに連れてゆくかということだ。その意味で、イーロン・マスクの役割と振舞いは要注意。それと、AALAとの関係では、マルコ・ルビオが表の権力を得たのが最大の警戒事項だろう。
世界は「民主主義国と専制主義国」が対立し、専制主義国の野心でヨーロッパでも東アジアでも「戦争の危機」が高まっている、というのが昨日までの「西側」の通念だった。
ところが、それこそが「ばかな戦争にアメリカを巻き込んで、アメリカ人を踏み台に闇で操り儲ける勢力」があって、「彼らがアメリカ没落の元凶」というのがトランプの主張。それで「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」のスローガンで選挙に勝利した。アメリカのグローバル展開の影で辛酸をなめた「ラストベルト」出身の J.D.バンスも、西海岸の「エリート社会」の居心地悪さからトランプの主張に共感する。彼らの「敵」は、アメリカをダメにしたエリートたちのシンジケート「ディープ・ステート」だ。
これにうろたえるのは「民主vs.専制」で「危険な専制から民主世界を守る」というイデオロギーを受け入れてきた人びと、つまり「西側」諸国、EU、日本などの民主派の人びとだ。じつはこの図式は、「自由主義vs.共産主義」ついで「文明vs.テロリスト」の焼き直しで、原型は「ナチズムから自由を守る」という、アメリカのヨーロッパ戦線参入のスローガンにある。それまでアメリカは「古いヨーロッパ」の戦争には関わらなかったから、そのモンロー主義を破る欧州介入には理由が必要だったのだ。
だが、トランプはこの図式を認めない。ヨーロッパの戦争への介入が、アメリカを世界秩序の束縛に絡めとり、それを利用したエリートたちのシンジケートがアメリカを没落させたと考えているからだ。一度、MAGAで大方の予想を裏切って大統領になった。だが国家運営の機構のなかで包囲網はきつく、再選はならなかった。そして今回は「神の加護」もあって、アメリカは再び「偉大な大統領」を選んだ。一期目にトランプを追い落としたのは自分が潰そうとして果たせなかった「ディープ・ステート」である。だから今度は、そのシンジケートの解体から仕事を始めている。
今、アメリカに起こっているのは、だからひとつの「内戦」である。その「内戦」をどういう手順で戦うのか、トランプ陣営には準備があったようだ。それが閣僚の布陣によく表れている(ほぼ全閣僚が議会の承認を得られるかどうかわからないほどだったが、トランプは自分が大統領である以上押し切れるとみていたのだろう)。
*
アメリカの「内戦」に選挙権をもたない我々は介入できない。すべくもない。なぜプロレスの観客よろしく、逆上してトランプをけなさねばならないのか。ロシア寄りだとか、プーチンに弱みを握られているとか。トランプはかつてプロレス興行に関わっていた。自分もリングに上がって見せ場を作るのは得意である。だから彼は大見えを切るし、客のブーイングさえ稼ぎのネタにする。
彼を「暴君」と呼ぶのは、「アメリカ」についてあまりに無知と言わねばならない。彼こそが「アメリカの自由」の権化なのだ。アメリカの場合「自由」は基本的に「私的」である。「他者」を軽んじ傍若無人に振舞う。トランプはアメリカの地金なのである。
アメリカとはどういう国なのか。先住民をいないことにして土地を強奪、私的所有権を金科玉条に、それに基づく「自由の国」を作った。それは「合州国」で、争い合うヨーロッパの諸国家とは成立ちが違う。だからイギリスの支配を排して「独立」し、「古いヨーロッパ」(ウェストファリア体制)に三下り半を突きつけた(モンロー宣言)。
その後は「フロンティアの西進」で自然の大地すべてを「不動産」に転換した。封建制の束縛はなかった。何でも物件化したら自由処分も売買もできる。所有権が大地にある物すべてを財産にする。その「新世界」建設のキーマンが不動産屋だったのである。
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その頃のアメリカは「偉大」だった。傍若無人でいられたから。ところが「老いたヨーロッパ」は仲間割れで大戦争、イギリスが助けを求める。アメリカは助けに行き、老いぼれに代わって「西洋=西側」の宗主権をもつ。そして世界統治にリーダーとして関与する。初めはよかった。戦争をするのは海外で、アメリカは繁栄する一方だ。ところが冷戦期になると、国がいつの間にか戦争態勢化、軍官学産複合体ができてそれが政治を動かすようになる(アイゼンハワー退任時に警告した)。この複合体は世界に戦争があることで繁栄する。そして世界統治するアメリカ国家を神輿のようにしてしまう。
10年のベトナム戦争、南米各地での政権転覆工作(CIA)、ソ連崩壊後には、EUの自立を抑えてNATO(北大西洋軍事同盟)存続、そして湾岸戦争、以後、世界の警察官が負担になると、皆でやれ!と「テロとの戦争」…。あちこちに戦争地雷をしかけて、その実「民営化・私物化」で儲けるというアメリカ・エリート・シンジケートが、国内の「アメリカ人」の衰退と凋落を招いてきた。その戦争屋連中が、世界にいい顔をするために人権だとか弱者保護とか多様性だとか言う。そのために「アメリカ人」が割を食い見捨てられている。だから「アメリカ・ファースト」、「アメリカを再び偉大に」と言うわけだ。それが見えない有権者たちの支持をえて、トランプはいま彼らのチャンピオンになった。
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そのトランプの標的は、まず国内の「グローバル民主派」であり、対外的にはヨーロッパなのである。アメリカを「国際秩序」に引き込んで凭れるからだ。トランプは世界を都合よく分断するイデオロギーを認めない(それはエリートたちのすること)。中国と敵対するのは、周辺で「人権抑圧」する専制主義国だからではなく、たんに「アメリカの偉大さ」を曇らせる最大のライバルだからだ。だから宗主国デンマークを無視してグリーンランドを買うという(アラスカも昔ロシアから買ったものだ)。カナダも51番目の州にする。戦争ではなくディールでやるから問題ない、と。
国内の「グローバル民主派」言いかえれば「世界秩序関与派」は、トランプを「危険な獣」のように見る。そしてヨーロッバ(今ではEU)は、アメリカはNATOで縛って冷戦後も自立を許さなかったのに、そのNATOをお荷物だとかタカリだとか言われ、命綱を切られた思いで悲憤憤慨する。さらにウクライナのゼレンスキーに至っては、「戦争をやめろ」というトランプに、「援助がなければ戦争ができない」「止めるから金よこせ」としがみつく(もとはと言えば英米がけしかけた戦争なのに、と)。EUもロシア憎悪で戦争を10年は続けるつもりだった。それでは話にならない、と大混乱。
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今、アメリカで起こっているのはそういうことだ。
では、日本はどうすればいいのか。これははっきりしている。今アメリカは「同盟国だなんて甘ったれるな、もう凭れるな」と言っているのだから、これを機会に日本はほんとうに「自立」すべきである。じつは冷戦後にその機会があった。ところがその頃は「世界の一強」アメリカに盲従するしか能がなく、構造改革から軍拡まですべて言われるままで、その結果が「失われた30年」。今こそ自立し、グローバル化した世界の中での新しい位置を見出すべきだろう。そのとき間違ってもまたまた「脱亜入欧」をやってはならない。G7(西洋先進国)の一画などと見掛け倒しの難破船に縋りついていては破滅だ。むしろ、BRICS+諸国と新たな関係を構築し、アメリカの頼りにならない世界、ポスト西洋の時代に積極的に貢献すべきだろう。今、アメリカとヨーロッパが再分裂し、西洋の世界制覇の時代が終わろうとしているのだから。
*もうひとつ重要なのは、デジタルIT産業が世界をどこに連れてゆくかということだ。その意味で、イーロン・マスクの役割と振舞いは要注意。それと、AALAとの関係では、マルコ・ルビオが表の権力を得たのが最大の警戒事項だろう。
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