アベノレガシー:権力私物化・公共性崩壊とヘイト2020/09/09

「ドコモ口座、18銀行と連携停止、不正預金引き出しで、地銀に被害」の記事に接して――

 新型コロナウイルス追跡アプリを配るといっても「紆余曲折があり」(JX通信社の記事の表現)、厚労省は予定の約2カ月遅れでやっと「接触確認アプリ」(COCOA) を配布。しかしこの間の政府の姿勢で(記録もなにも隠蔽・破棄、IT担当大臣は無能、ただし事あるごとに押しつけナンバーの口座紐つけだけはなんとしてでもやろうとする)、行政府に対する市民の信頼はゼロ。だから中途半端なアプリを誰も使おうとしない。

 そして中国のデジタルIT技術が進むと、独裁国家の監視体制が云々と言いけなす。中国では日常の市場の買い物もスマホでやるのが普通になっているし、そのネット売買等は信用ランキングアプリで確実性も市場的に担保される仕組みだ。そのことを多くの国民(中国人)はむしろ積極的に受け入れている。それがどういうことかは「独裁国家」などという「西側(=アメリカ)」のレッテル貼りでは理解できない。私は社会のデジタルIT化を無条件に歓迎する者ではないが(とくに5Gなど)、中国社会ではこれがどれほど経済の「成長」と国民生活のかさ上げに役立ったかということだ。それは少なくとも『幸福な監視社会・中国』ぐらいは読んで考えてみてほしい。

 日本はいま「コロナ禍の出口」としてデジタルIT化の推進を謳っているが、残念なことにその基幹リーディング企業である元NTT・ドコモが、やろうとするとたちまちこんな仕儀になる。ダダ漏れで使えないシステムしか開発できないのだ。これが日本の現状だということを理解しなければならない(イデオロギーではなく行政力・統治能力の問題)。

 「市場の自由化」と「権力の私物化」(いずれもprivatizationだ)を都合よく癒着させてきたこの間の日本の政権は、行政機関や社会組織(企業も含めて)を「忖度・隷従」の私権の蟻塚とシステムと化してしまい、「コロナ対応」でもそうだが、公共行政システムをまったく無能化させてしまった。そのカムフラージュ(というより政権の基本姿勢だが)として外の相手の実相を見ない「内向きニッポンすごい!⇔嫌中・嫌韓ヘイト」である。だからコロナも終息しない今も、そんな事は小事、大事は愛知トリエンナーレで「ヘイトはいけない」と発信し続けた大村知事のリコールだ、とバカげた騒ぎを、メディアは無視、あるいは何かまともな政治活動ででもあるかのように報じる(得意の「両論併記」?)。そして台風でも、韓国に抜けてしまえば知らん顔。

 この日本の「惨状」こそが、安倍史上最長政権の「レガシー」である。ただし、まさにその「レガシー」を重ねてきたために、安倍政権はさまざまな「汚物」を溜め込み、それがポリ袋をやぶって溢れるようになり、公文書隠蔽廃棄、官僚偽証、議員選挙違反、カジノ利権、そしてモリカケ桜で足元が崩れ出し、最後にそれらに蓋をする検察人事のムリ押しに失敗し、ついに国会を閉じて逃げ出したが、もはや再び国会を開くのはイヤだ…。そうは言えないから、「持病」を口実に使った。そしたら「同情」が集まったのか支持率上昇という怪、それは日本の現在の「惨状」をあくまで見たくないという、「アベノレガシー」の腐臭だと言わざるをえない。

 (ワクチン買い漁りも日本では開発できないから、そして英米製薬企業から「副作用があっても責任取らない」という条件まで受けいれて――さすがにそれはできなかったが――という酷さ。)

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