★舵の効かない「Go to」五輪2020/12/03

もう12月、明ければオリンピックだそうだ。コロナ下でのオリンピック強行開催(準備をコロナ下で進めなければならない)。大勢の選手団や関係者に来てもらわねばならない。「オモテナシ」のために、政府はワクチン接種を入国条件とせず(一部の国しか間に合わない!)、交通機関の利用にも制限をかけないという。ただ、感染監視アプリを義務付けると。それで、大量の五輪観光客を受け入れ「移動の自由と感染対策の両立を目ざす」のだそうだ。

日本の政治環境はそれで通っても(そんなことを政府が平気で発表できる!)、世界のまともな人びとも政府も、デタラメさと無理やり五輪開催国の無責任ににあきれるばかりだろう。世界に混乱を招くばかりだからだ(「Go to」観光客はいざ知らず、国も選手たちも困惑する)。

オリンピックはアベ・スガ政権の性格というより、今の成長戦略会議に引き継がれたこの間の日本政府(野田内閣以来!)のグランド・デザインに従って、アベ内閣が目玉として据えたプランで、この間の日本政府の全般政策の牽引車、やるしかないものになっている。もはや路線変更ができない、その能力がないのだ(だから「インパール作戦」にもなぞらえられる)。

コロナ禍は降って湧いたその障害。だからこのパンデミックに際して、日本では対策は初めからオリンピックに支障をきたさないことだった(クルーズ船の頃)。2020年にできないから中止というのでなく、無理やり延期に持ち込んだ(4年毎に一度というのはオリンピックのアイデンティティ)からなおのこと、世界に何と言われても実施を目ざすだけ。

だからコロナ対策は、基本すべてオリンピック実施対策。それがすべてに優先する。コロナなど迷惑でしかない。四の五の言うな、下々はみんな自分で「自粛」し合ってコロナを抑えろ、お国はオリンピックにまっしぐら、「Go to 五輪」の一点張り。その無理も半分わかっていても、もう誰も舵を切れない。

その政治の盲点は、アベ・スガ日本がトランプに期待したように、政権自体がもう内向きになっていて(支持率高いから)、世界からどう見られるかがまったくわかっていないことだ(外務省は臆面もなくドイツ都市の慰安婦像設置に抗議したりするし)。トランプにすり寄れば、その時点で世界からは顰蹙を買うのに、その草履もちになることを「影響力がある」と勘違いする外交感覚だから。

いま世界で、オリンピックに関心を向けている国などひとつもない。みんなコロナ対策が最優先課題だから。スポーツの記録競争より、ワクチン開発・獲得競争。それはそれで、倒錯的ないわゆる「科学の政治利用」だが、とにかく国民の健康・生命維持が第一課題ということで、日本にオリンピックをやってくれなどと誰も期待していないのだ(競馬馬のように目によそ見禁止の覆いをつけている選手たちは別として、というと競馬馬に失礼か、馬は好きだが、人間のアスリートは馬ではないだろう)。

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