五輪を待たず、咲かぬ桜は散りぬるを2020/02/25

隣の韓国では、新型コロナ検査を1日13000人規模でできる態勢をとったという。日本では、というよりアベ政権下では、検査をやろうとしない。ひたすら感染者「数」を抑えようとしているようだ。それで「市中感染」(経路不明)がじわじわと増える。ニュースでは「感染者数世界第二位の韓国では…」。

理由はただ一つ、東京オリンピックに影響させないということだろう。それと、一昨年・去年の災害対策と同じで、そんなことに金をかけたくないのだ(韓国などと較べてひどい対策予算)。軍事やテロ対策とかでは金に糸目をつけないが、災害が起きても側近と宴会をやっている。つまり抜本的な対応をしたがらない。だからアベは対策会議を作っても、テレビ用にちょっと顔を出すだけ、毎日仲間やメディアと会食ざんまい。そこでやっているのはメディア操作と批判派ディスりの発注だ。

政府が検査をやらせない(極めて消極的)というだけでなく、府県や市、病院、会社も検査をしたがらない。感染者が出れば病院はたいへんな対応を迫られるし、客が敬遠して来なくなる(「風評被害」というやつ)。会社や工場も操業停止しなければならない。だから、感染者が出ることに戦々恐々としている。人間より組織大事というわけだ。

クルーズ船の失敗もよく検証する必要があるが(実際の対応は神奈川県がやっていたという)、ひどいことに、無能政治家官僚の下で船内対応していた医療関係者が、務めに戻ったら職場でさえ「ばい菌」と呼ばれていじめられるような社会だ(中国では情宣とはいえ献身を称えられた)。日本はいつの間にかそんなふうになってしまった。

国会でのいくつもの疑獄案件や検察違法人事の追及を払いのけるためか、ニュースは時間稼ぎのようにコロナ対策一色だが、さすがにその無責任ぶりに経済界も不安になり、ダウ平均今日は一気に1000円安。それでもアベ官邸は黒田に任せたつもりで、異次元の緩和で対応させるだろう。ところがそれはもう目いっぱい、打つ手なく、これで底が抜ける(もうしのぐ禁じ手も使い尽した)。

その一方で、アベ擁護を最大の保身と心得るウヨ有名人たちが、武漢肺炎と呼び、中国に補償してもらえとか言い出して、自分たちが求めるアベ政権の無能を中国に責任を転嫁しようとする。彼らアベ太鼓持ちこそ、日本を中国の冊封国にしたいのだ。

中国は全人大も延期して強力な「臨戦態勢」を敷いている。それも問題があるが(日本のウヨ太鼓持ちはそれに倣って緊急事態の予行演習をやるとか言っている)、NHKのニュースが「…という思惑があるものとみられます」といつも敵国の勘ぐり気取りで言うように、中国はこの事態を全力で制御して、避けがたい経済的打撃(ただでさえトランプの強引な制裁で打撃を受けている)を覚悟でしのぎ、抑えて一気に再編回復できる態勢を取ろうとしている。

ところが日本は、というよりはっきりアベ政権は、と言おう――いま日本では官邸にすべてが集約されていて、世論より国会審議より行政実務集団(官僚)より裁判所より、決めるのは閣議決定という異常な状態にあるのだから――、アベ政権はひたすらオリンピック大事である。ぼろぼろ無法権力化で、もうそれしか大義がないからだ(無理筋承知で子飼いのクロを検事総長に据えようとしているのもそのためだ――そうしないと続々逮捕だ)。

だから、検査せず、感染者を洗い出さず、抜本対策をとらず、実情みせなきゃやり過ごせる、国民の皆さん協力をとか言っている。そしてウヨ世論が、緊急時に政府批判をするな、厚生大臣もセキしながらマスクなしで頑張っている、批判するのは国賊だ、悪いのは中国だ、と援護射撃。食わせた鮨の効果でメディアは「両論併記」。

が、アベノミクスでてなづけた経済界がとうとう株を落として脅しをかけた。もともと株高は「上級国民」の私利私欲で成り立つ。それが心配し始めたのだ。

しかしそれより、この間の日本政府の姿勢は、今までは冷笑しているだけだった国際社会に深い不信を植え付けることになった。文書隠蔽・改竄・不作製は国内問題だから、他国は冷笑していればよかったが、感染症はそうはいかない。自国にも伝播してくるからだ。だからこの件で、肝心な対応はせずWHOに金だけ出して感染者数を減らしてもらうという初期対応以来、クルーズ船の「培養シャーレ化」 と政府の無策で、日本への不信はますます深まっていることは覚悟しておいた方がいい(感染初めのイタリアの対応をみよ)。そのつけも、アベ政権のすべての悪行の結果とともに、われわれ国民が払うことになる。

まず、オリンピック盛り上げ騒ぎを止めること、そして感染防止治療対策に全力を挙げる姿勢を示すこと、そうしないと世界から引導渡されて、かえってオリンピックは開けなくなるだろう。