「緊急事態」はどこにあるのか――アベ政権の無能と弊害2020/03/07

コロナウイルス禍の緊急時にあり、国を挙げてその対策に取り組まなければならないから、その点では政府に協力する、それが大人の(政権交代ができる)野党の姿勢とか、思っているのかもしれない。しかし、それはあさはか。

・自民党は(とりわけアベは)民主党政権下の3・11のとき、デマを飛ばし中傷し、対策に当たる政権の邪魔をする先頭に立っていた。

・そのアベ政権は、憲法に緊急事態条項を入れることを前々から目論んでいて、今回のコロナウイルス危機を奇貨として緊急事態法制の上程が取りざたされていた。

・その自民党内の機運をバックに、コロナ危機への初期対応のまずさと胡乱さ(感染を抑えたいのか数だけ少なく見せたいのかまったく分からない)、それによる諸外国からの非難の中で、それまでは厚生省等に任せて前景に出なかったのに、お友達(反中親台派)の進言もあって唐突に会見を行い、「春休みまでの一斉休校要請」で、求められてもいない「指導力発揮」を演じて見せた。それが後先みない思いつきだったことは、翌日から全国で始まった学校・家庭・職場関係の大混乱で露呈した。

 その上、反中派お友達の進言とかで(本人がツイッターで自慢している)、時機を逸した中韓入国規制。何より協力が必要なときに、この敵対行為は、ただでさえ弱体化している日本経済に致命的な打撃を長く与えることになる。

 そうした大失政を糊塗するように、危機対応のためとして緊急事態法制(言い出して、直後に民主党政権下でインフルエンザ危機に際して作られた法律があることが分かり、修正案とする)を持ちだしてきた。立憲民主党は、それが民主党政権下で作られた法律の修正であるということで、この改正案審議に協力するという。

・現実的で有効な感染拡大への対処は何もせず、この法改正が緊急対応だというのはまったく倒錯した話である。そのうえ、法的根拠もないのに、アベ政権はすでに「緊急事態宣言」の真似事をやっている(最初に北海道知事にやらせ、すぐに自分もやってみた)。すると日本社会は、頼るものがないから不安に駆られ、皆がわれがちに防衛に走る(マスク、トイペ消滅、生活混乱に右往左往…)。その上に、アベの無策と思いつきを事後的に合法化する法改正をさせるのは、その大失政にそれを握りつぶす権限を与えるようなものである。

・「危機」が何かがまったくわかっていない。「危機」はコロナウイルスの感染拡大を背景に、政権の居直り居座りだけに汲々として逃げ回り、逃げ道を塞ぐことだけに血道を上げるアベ政権がこの時期にも居座っていることである。緊急事態だというのなら、この内閣を「隔離」して(十四日間だけでなくその後も)、日本の国にあるリソースで実務内閣を作って官僚を働かせ、次の選挙まで統治させることだ。それがどれほど見通しの立たないものであっても、火事場で泥棒を働くようなことにはならないだろう。

 立憲民主党にはそれを引き受ける覚悟などないのだろう。

 前々から言われているように、日本の「国難」はアベ政権の居座りそのものであり(日本の政治機構を根本から腐らせた)、降りかかったコロナウイルス禍が、それに利用されることになったら、日本のこの先はまったく目も当てられないことになる。すでに「末世」になっている。その「末世」の底を抜こうとするも同様。

・極端な主張と言われるだろうか?いや、極端なのは、アベのような人物がこの国の首相であり、それが長期に続いているという事態そのものだ。

 アベはこの間、「桜を見る会」関連の国会で居直り、言い逃れに終始し、検察人事まで捻じ曲げてアベ後の疑獄案件に備えようとし、クルーズ船対応に始まるコロナウイルス問題には関わらず、必要な対応予算を組み込むことも拒んで(感染症研究所の予算さえ削減され続け、ほとんど動けない)予算案だけを通し、大事になり始めると、ネトウヨ友だちの意見だけに乗って、場当たり見せかけ対応だけをして混乱を増大させている。これこそが「危機」でなくて何なのか。ここで言われたことは、いささかも極論ではなく、原則論である。

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