「手漕ぎの軍船」化2015/09/08

[FaceBook(9月8日)より転載]

今日もひどい事の山積み!

自民党総裁選はどうでもいいが、参議院厚生労働委員会で改悪派遣法の強行採決(明日本会議で採決)、これも公明党がいっしょだ!ファッショ小判ザメ政党!そして議事運営委員会では、地方公聴会を飛ばして15日中央公聴会の抜き打ち決議。政府はろくな答弁をしていないし(実質的には無以下)、肝心な「軍部独走」幕僚長の証人喚問もやっていない。そして16日、本会議(日本会議か?)でこれも強引な採決をするつもりだ。

今年の初め、日本はこのままでは安倍一党が乗り回すガレー船国家になる、と書いた(共同通信配信「論考2015」)。ガレー船とは奴隷を使った手漕ぎの軍船だ。文字どおりそうなりつつある。国憲を無視し、国民を奴隷にして自分たちがのさばろうとする悪党たちにこの国は乗っ取られようとしている!こんな「国難」はかってなかった。あらゆる人びとがスパルタカスにならなければならない!

――その「ガレー船化」の記事を転載しておこう。

◎戦争へ加速する年の初めに
 展望なき政権が迷走
 戦後70年の課題重く

 「戦後70年」の節目をわれわれは「戦後レジームからの脱却」をめざす政権の下で迎えることになった。「戦後レジーム」とは、敗戦によってできた「非戦」の体制のことだとすれば、それを「脱却する」とはとりもなおさず、戦争の準備をすることを意味する。その変化が加速されようとしている。そんな年の初めにあたって、まずは国の内外の状況を俯瞰しておきたい。

 ▽人より法人

 「経済成長」をうたう安倍晋三政権の政策は、大企業を支援し、株高で富裕層を潤わせるが、企業優遇は雇用や労働の条件を劣化させ、多くの人を恒常的な貧困へと追い落とす。そのしわ寄せは若者や女性に集まり、それが子どもの貧困に拍車をかける。衆院選が終わった途端、法人税減免と生活保護費の切り下げが打ち出された。保護されるのは人ではなく法人ばかりだ。

 福島の避難民の救済や汚染水処理を置き去りにした原発再稼働も、各方面から反対の根強い環太平洋連携協定(TPP)も「経済成長」のためといわれる。だが「経済成長」の追求が、社会を潤さず、むしろ人びとを貧困化するのは、いまでは随所に明らかだ。人件費を抑えて競争するグローバル市場の構造と「成長神話」は行き詰っている。この路線は、つまるところ社会全体に不公正や不寛容をまき散らし、人びとを分断して生きにくさせる。

 ▽時代錯誤

 安倍政権は「成長」をかざす一方で、もうひとつの国家改造を目指している。それは「戦争ができる国」を「取り戻す」ということ、軍事力を背景に国際秩序のアクターとなるということだ。だが、それにはいくつもの障害がある。ひとつは国内の抵抗、もうひとつは近隣諸国の反発、それに米国との関係だ。

 国内の抵抗に対しては、選挙や政治の争点をひたすら「経済」にすることではぐらかし、議論を排除する。近隣諸国の反発には無視で対抗しながら、その後ろ支えを日米安保と軍事化に求める。「戦争ができる国」は日米安保が前提で、米国の一部がそれを後押ししている。ただし、米国は「肩代わりに使える兵力」を求めているのであって、独自の日本軍を求めているのではない。そこに米国との食い違いがある。

 首相は就任以来、延べ50カ国以上を回り、援助の約束をばらまいて国連の安保理入りも画策する。それで米国の「強力なパートナー」になろうというのだろう。日米同盟で世界を仕切る? それが夢かもしれないが、いかにも時代錯誤の夢想というしかない。

 ▽手こぎの軍船

 いま、世界の経済と軍事の状況はどうなっているのだろう?
 リーマン・ショックとその後の金融恐慌を経て、資本主義システムの破綻がさまざまに語られている。資源や環境の問題もあり、とくに地球温暖化への対処は急務になっている。「成長」が繁栄をもたらし、人びとを豊かにするという古典的な見方はもはや成り立たず、根本的な考え方の変更が求められているのだ。

 他方、輪郭も制約もない「テロとの戦争」の動向は、軍事力が世界秩序安定の解決にはならないことを示している。

 石油利権を背景に「解放と民主化」を掲げた米国の戦争は、とうとうイラクとシリアに「イスラム国」を生み出すことになった。一方的な空爆や無人機攻撃はウイルスのように「敵」を変異させる。いまでは米国でさえ戦争に「勝つ」ことはできない。日本が手伝っても、世界の混迷を深めるだけだろう。

 安倍政権のめざす二つの方向は、いずれにしても展望がない。それでも「この道しかない」というなら、日本は徒刑囚を使役するガレー船(手こぎの軍船)のような国家となって、秩序の見えない世界をダッチロールし、やがて難破するのがおちだろう。船をこぐのは広範な貧困層、運営主は富裕層だ。そしてその仕組みが内部で露見しないように、すでに特定秘密保護法も用意されている。

 難破を、いやその前にガレー船化をくいとめるため、われわれは何ができるのか。重い課題が山積している。

訂正とお詫び:「三菱鉛筆」について2015/09/18

 9月16日の午後9時過ぎ、国会正門前で安保法案に関連する短いスピーチを行いましたが、その際、安倍政権の下で軍需産業が推進されていることを念頭に、誤って「三菱鉛筆」を旧財閥の三菱グループの仲間と混同し、「ミツビシの製品は、エンピツ一本も買ってはいけない」といったことを述べてしまいました。
 しかし、ご指摘を受け確認したところ、三菱鉛筆株式会社の三菱とスリーダイヤの商標は、三菱財閥(現・三菱グループ)より10年早く1901年に登録されており、まったくの別会社です。
 軽率に両者を結びつけて、聴衆の方々に無用な誤解を与えたことと、なにより三菱鉛筆株式会社にご迷惑をおかけしたことを謹んでお詫びするしだいです。三菱鉛筆社の文具等は安心してお買い求めください。

[追記] なお、「不買運動を訴えた」とのご指摘もあるようですが、それは本旨ではありません。主旨は、産業の軍事進出には経済活動の健全化のためにもとくに警戒してゆく必要があるということです。誤解を生じたとしたら、不十分な表現をお詫びいたします。ご了解いただければ幸いです。